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(天声人語)生き延びよタマネギ 2017年4月21日
作者: 发表时间:2017-12-12 浏览:176

 (天声人語)生き延びよタマネギ

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 値札を見て思わず棚に戻してしまう。去年のタマネギはそれくらい高値だった。今年は大丈夫か。春ものの出荷が本格化した主産地、佐賀県白石(しろいし)町で作柄を尋ねた▼「今年は細心の注意を払ってきた。いまのところ大流行はない。問題は5、6月の収穫分に感染が出ないかどうか。勝負はこれからです」。栽培農家の田島清吾さん(62)は、自分の畑だけでなく一帯の畑をこまめに見て回る▼警戒するのは「べと病」である。かびの一種「糸状菌」が葉をしおらせ、球を実らせない。去年、春夏ものを支える佐賀県で拡大し、「産地存亡の危機」とまで言われた。台風や水害に見舞われた北海道産とあいまって、全国的な高値を招いた▼未曽有の被害をへて、佐賀県は今年、官民挙げて予防に取り組む。病気にかかった株を集めては焼き捨てた。うねを高くし、土を強くした。田島さんたちは、べと病克服の経験がある淡路島を視察。近隣の畑で感染が見つかれば声をかけあうようになった▼仏紙で料理評論に腕をふるった故ロベール?クルティーヌは「タマネギは貧乏人のトリュフだ」と評した。高級食材のトリュフにも比肩する甘みと香りをもちながら、庶民にも手が届く。日本では明治の初めに広まった▼〈畑に光る露出玉葱(たまねぎ)生き延びよと〉西東三鬼(さいとうさんき)。佐賀平野ではいま、緑色のタマネギの葉が春の日差しを浴びて天を指す。病んだ葉は対照的に茶色く細く、素人目にもそれとわかる。タマネギ畑を歩きつつ「生き延びよ」と念じた。