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55 連用のまとめ
作者:庭三郎 发表时间:2010-10-29 浏览:3083

 55.連用のまとめ                 
                                                                     
                55.1 連用修飾の種類 
                55.2 連用節どうしのまとまり方
        55.3 節を結ぶ接続詞
        55.4 同種の連用節の重なり
        55.5 連用節どうしの関係


 55.1 連用修飾の種類          
  55.1.1 副詞(句)と連用節  
  基本述語型にかかるもの  [程度][様子][頻度]
  ボイスにかかるもの    [態度]
  テンス・アスペクトにかかるもの  [時]
  ムードにかかるもの    [陳述]
  補い合うもの       [限定]
  文全体にかかるもの    [評価][発言] 
  55.1.2 副詞句と対応しない連用節
  [並列・逆接] [前置き] [条件] [理由・目的] [判断の根拠・状況設定など]
  55.1.3 遊離的な節      
  [~か] [その他]
 55.2 連用節どうしのまとまり  
 55.2.1 節が数多くある例   
  55.2.2 述語の主体の一致   
  55.2.3 主体のハとガ    
  55.2.4 テンス              
 55.5 連用節どうしの関係      
  55.1 条件と時・理由・目的   
  55.2 別の分類               

 

 連用節は種類がたくさんあり、初級の後半のかなりの部分がこの学習に費や
されます。一つ一つの意味用法がもちろん大切なわけですが、連用節全体を通
じて考えるべきこともあります。

 何度も述べたように、日本語の文の基本的骨組みは、「補語+述語」という
構造と、「主題-解説」という構造の重なりからできています。それに、連体
と連用の修飾が付いて、文の内容を豊かにします。

 連体については連体節の最後のところで少し考えます。ここでは連用につい
て考えてみます。
 連用というのは述語にかかることです。その連用成分の中には、単純なもの
もあり、複雑な節の形をしたものもあります。「10. 修飾」以下でみた単文の
中の修飾語があり、これまで見てきたさまざまな連用節があります。
 その機能を考えてみると、当然のことながら、単文の中の修飾成分と複文の
連用節には対応するものもありますし、対応しないところもあります。


55.1 連用修飾の種類
 「連用」(述語にかかる)という点から、連用節と単文のところで取り扱った
補語や連用修飾語を比較しながらまとめて振り返ってみます。
  まず、「述語にかかる」と言うときの「述語」とは何かという問題がありま
す。基本述語型の三つの述語、動詞・形容詞・名詞述語が基本ですが、そのほ
かにさまざまな複合述語があります。複合述語は「44.複合述語のまとめ」で
見たようにいくつかの階層があり、そのどこに「かかる」のか、ということが
問題になります。ムードをひとまとめにしてしまうと、

┌──────────────────────────────┐
│基本述語型 -(ボイス)-(アスペクト)- テンス - ムード  │
└──────────────────────────────┘

となります。ボイスとアスペクトは動詞述語だけに関係します。
 この基本述語型から順に外側へ、それにかかる修飾成分を見ていきます。

55.1.1 副詞(句)と連用節
 基本述語型の中で、動詞以外の述語、つまり形容詞述語と名詞述語も修飾で
きる修飾語は限られています。副詞(句)の例は「11.副詞・副詞句」に出しま
したのでもう一度見て下さい。

A.基本述語型にかかるもの
[程度]
 形容詞述語と一部の名詞述語を修飾できるのが程度の副詞句・連用節です。

          とても素晴らしい
     涙が出るほど素晴らしい
     もっと遠くです。
     ずーっと、ずーっと、見えないぐらい遠くです。

  動詞では、状態・性質を表す動詞や、動き・変化の動詞の程度を表します。

     空気が非常に澄んでいる 
     見るだけで痛そうなほど腫れている
          目標からかなりずれる
          この町は、前と同じ町とは思えないくらい変わった。

  また、様子の副詞など、他の副詞を修飾できます。

     肉眼ではわからないほどゆっくり動いている。

[様子]
 形容詞・名詞述語の修飾には使われず、動詞述語だけを修飾できる要素は数
多くあります。まず代表的なのは様子の副詞句・連用節です。副詞句、連用節
ともに種類が多く、さまざまな様子を表します。

          ゆっくり/低速で 走る
          スピードを落として/上げずに 走る
          強く握る
     力を入れて握る
          急に家から飛び出した
     急いで家から飛び出した
          音楽に合わせて体を動かす
     相手の目を見て/見ながら 話す
     手を振りながら叫ぶ
     靴のままいすに乗る
     靴下をはいたまま寝る
     鳥のように空を飛ぶ
          驚いたように振り向く

 こうして並べてみると、副詞句か連用節かという違いはあまり大きな違いと
は感じられません。
 話し手が、表現したい内容に合わせてどのような形式を選ぶか、そこで複文、
言い換えれば従属節を必要とするかどうかは、微妙な違いという感じがします。
 特に形式名詞を使った場合には、発想のしかたはほとんど同じで、名詞を使
うか述語を使うかの違いです。

[頻度]
 頻度の副詞と対応する連用節を考えると、様子の連用節と似たものになりま
す。

     たびたび/しきりに やってくる
     三日とあけずにやってくる
     間を置かず、攻撃を繰り返した。

  「V-たびに」は頻度とは違いますが、近い意味です。単文では「Nに」、
「Nごとに」「Nのたびに」などさまざまな形が使われます。「連用修飾」と
いう機能の点では同じものです。

     週に一度来る                    (名詞+助詞)
     三日ごとに来る                  (名詞+接辞+助詞)
     食事ごとにデザートが付く
     点検のたびに問題が見つかる      (名詞+の+形式名詞+助詞)
     調べるたびに問題が見つかる      (動詞+形式名詞+助詞)
     見るごとによくなっている

 「V-ごとに」はあまり使われません。    

B.ボイスにかかるもの
[態度]
 複合述語の中で最も動詞に近いものは、複合動詞などを別にすればボイスで
しょう。「11.副詞・副詞句」でも見たように、「態度の副詞」はボイスにか
かると考えられます。

     子どもはピアノの先生のところへいやいや連れて行かれた。

 「いやいや連れていく」のではなくて、「いやいや・・・れる」のです。

          子どもに無理に勉強させても、勉強が嫌いになるだけだ。

「無理に・・・させる」です。「がんばって勉強させる」というと、がんばるのは
親でしょうか、子どもでしょうか。両方ありそうです。

          女は連れの男にわざと足を踏ませ、悲鳴を上げた。

 「わざと」は「女」の態度を表します。「男」もわざと踏むのでしょうが。

 このようなボイスにかかる連用節は、

     気が進まないながら(連れて行かれた)
     自ら進んで

などが考えられますが、「進んで」はすでに副詞だとも考えられます。 

 様子を表す連用節も、基本述語型の中に収まるだけでなく、ボイスにかかる
ことがあります。

          彼らは理由を知らないまま、警察に連行されていった。

 「彼らが・・・連行する」のではないので、この「~まま」は「(連行)される」
にかかることになります。様子の副詞との違いが出るのは、連用節では主節と
主体が一致しなければならないことによるのでしょう。

C.テンス・アスペクトにかかるもの
[時]
 テンス・アスペクトと関わるのが時の副詞句・連用節であることは言うまで
もないでしょう。

 単文の中の時の表現は、名詞句と助詞、それに副詞です。その名詞句を使っ
た構造と連用節は、「48.1 概観」で見たように、はっきりと対応しています。
 もともと、時の連用節は、構造上は「連体節+形式名詞」とも言えるもので
すから、それらの名詞を「Nの」が修飾するか、連体節が修飾するかの違いし
かないわけです。

          さっき/一時間ほど前に 会った
     入学式の前に会った
     入学式が始まる前に会った

D.ムードにかかるもの
[陳述]
 ムードに関わるのは陳述の副詞句ですが、それにちょうど対応する連用節は
ありません。
 程度や様子の副詞句は、述語の表す内容をよりくわしく描写するためのもの
ですが、陳述の副詞は違います。文末のムードと呼応して話し手の判断・態度
を表すものです。逆に言えば、それ自体が述語に付加的な意味を加えるわけ
ではありません。
 それに対して、連用節は具体的な内容を持って、主節の内容に意味を加えま
す。 

 ただ、次の例のような対応は考えられます。

     私は決してタバコを吸うまい。
     私はどんなことがあってもタバコを吸うまい。

 「決して」は否定の述語と呼応して意志表現をを強めています。「どんなこ
とがあっても」は否定とは限りませんが、同じように述語の意志表現を強める
役割を果たしています。
 しかし、「決して」がその具体的内容を欠いているのに対して、総称的では
ありますが、何か具体的な障害を想定して、それを乗り越えて禁煙するという
意志を表しているという違いがあります。

 また、ムードと呼応する、というのとは違いますが、条件の「~なら」が主
節に断定以外の働きかけや意志などのムードを要求するということがあります。

     来るなら来い。
     郵便局に行くなら、このハガキ出してきて。

 逆に、「~と」や「~ば」には主節のムードに対する制限があります。条件節は
ムードと微妙な関わりのある表現です。

 陳述の副詞といわれるものの中には、ムードと直接関わらず、連用節と関わ
るものがあります。

     もし~たら/ば/なら/と、
     万一~たら/ば、
     仮に~するとしたら、
     たとえ~ても、
     せっかく~のに/のだから/にもかかわらず、

これらの中で「せっかく」だけは、独自の微妙な意味を加えています。

 また、量・程度の副詞、評価の副詞にも連用節と呼応するものがあります。

     どんなに/いくら~ても、
     さすが(に)~だけあって/だけに、

E.補い合うもの
[限定]
  限定の副詞は、まさに限定の副助詞・連用節と共に使われます。お互いの役
割が違っているので、補い合う関係です。この点で、他の副詞と連用節が交替
する関係にあるのとは違っています。

     ただ、風が吹くばかりでした。
     せめて自分の部屋を片付けるくらいやってよ。

  「せめて・・・やってよ」というより「せめて・・・くらい」というかかり方です。
 上で見た陳述の副詞と条件節の関係に似ています。

F.文全体にかかるもの
[文修飾の連用節]
 さらに、「連用」つまり述語にかかるということを越えて、文全体にかかる
「文修飾」の副詞に対応する連用節を見ておきます。

[評価]
  「幸い(なこと)に」「あいにく(なことに)」などに対応する節は、

          相手チームにとっては幸いなことだったかもしれないが、我々にと
     ってはまったく不幸なことに、急に雨が降り出し、試合は流れてし
     まった。

     あいにくなことだったが、捜し当てた相手はちょうど旅行中だった。

などになるでしょうか。「47.逆接」のところで、「前置き」の「が」として
例をあげた形です。  
 
[発言]
 「11.8 発言の副詞」で例に出したものも、もともと節に近い形のものでし
た。「要するに」「実を言えば」「はっきり言うと」など。それをさらに、

     この際ですからはっきり言わせていただくと、~
     あなたの立場を考えるとあんまり言いたくないことですが、~

のように引きのばすこともできます。

          ちょっとお尋ねしますが、駅はどっちでしょうか。

もここに入ります。

  節の形としては、条件や「前置き」の「が」などの形になります。


 以上、単文の中の副詞句と連用節を比較しながら振り返ってみました。程度
や様子の場合は、そのための連用節の形がありましたが、陳述・評価・発言な
どではそれ自体の連用節の形を持っていません。
 連用節の機能は、ある面では副詞句より狭いということが言えます。

55.1.2 副詞句と対応しない連用節
  この本では「連用節」という用語を使っていますが、他の文法書では「副詞
節」と呼ばれることも多いです。副詞の働きをする節、ということですが、そ
の中には対応する副詞句がないものがあります。それらを見ていきます。
 
[並列・逆接]
  「並列」の連用節は、対応する副詞句がありません。「46.並列など」の初
めで述べたように、文法的には「従属」節ですが、意味的には主節と対等の関
係にあるので、副詞とは違うわけです。構造的にはむしろ名詞句に似ています。

  名詞の並列接続と、並列の連用節を比較してみましょう。「NとN」はたん
に要素を並べていくもので、「~て、~」に似ています。

     食事と買い物をする
     食事をして、買い物をする  

 「NやN(など)」は、その他のメンバーがあるという含みを持っています。
これは「~たり、~たり(する)」に近いと言えます。

          食事や買い物をする
     食事をしたり、買い物をしたりする  

  「NもNも」は、初めから頭の中に、あることに該当するメンバーの表があ
り、それらが皆そうである、ということを意味します。これは「~し、~」に
対応します。

     食事も買い物もする
     食事もするし、買い物もする 

 逆接にあたる単文の要素はありません。逆接は必ず文相当の表現を必要
とするということです。

[前置き]
 「前置き」の「~が、~」をここでもう一度見ておきましょう。「前置き」
というのは主節との文法的関係が直接的なものではないというだけのことで、
実際的な意味はいろいろであり得ます。少し前に、「評価」や「発言」などの
連用節もこの「前置き」の形になることを見ました。

 その一つの用法で、話の主題を導入するものがあります。

     昨日の話だけど、どうなった? 
     昨日の話はどうなった?
     ほかでもない君の昇進のことだが、やはり見送りになったよ。
          (君の昇進は)

[条件]
 条件表現は、単文に対応する表現のないものです。「N+なら」の一部が条
件に近いと言えます。それは、さらに主題の「は」につながります。

     この問題は、私でもできる。
     これが問題?この問題なら、私でもできる。
     次の試験もこの問題なら、私でも満点だ。
     この問題くらいやさしければ、私でもできる。

  「前置き」にしろ、この「条件」にしろ、主題と近いというのは興味深いこ
とで、主題とは何か、という問題の広がりを示すものです。

[理由・目的]
  原因・理由は、補語の「Nで」「Nに」や形式名詞の「N+ために」など、
副詞ではない単文の要素と「~から/ので/ために/て」などが対応します。

     雨で       雨が降ったので
     頭痛のために      頭痛がしたために

 目的は「Nに」「Nのために」と「V-ために/のに」などが対応します。

          料理に使う    パンを焼くために使う
     受験のために   大学を受験するために

[判断の根拠・状況設定など]
 「50.理由」の「~から」で、「判断の根拠」「その他」という用法につい
て述べました。

     明かりがついているから、誰かいるよ。

 「明かりがついている」ことは「誰か(が)いる」理由にはなりません。「誰
かいるから、明かりがついている」のならまだわかりますが。そこを逆に「誰
かいる」と判断する根拠が「明かり」なのです。

     明かりがついている →[誰かいる]と判断する

 この「~から」はどこに「かかっている」と考えられるでしょうか。しいて
言えば、「ir-u」の「u」が表す「断定」のムードにかかっているのでしょう。

 「Nから」にも「根拠」を表す用法がありますが、こちらは述語にかかって
います。

     この事実から、市長の不正が明らかになった。

 次の例はどうでしょうか。

          まだ早いから、もう一本飲もう。

 酒飲みにはどんなことでも飲む理由になるのでしょうが、「まだ早い」こと
は「もう一本飲む」理由には、厳密には、なりません。

          まだ早い → 時間がある → 飲める → 飲もう!

という論理でしょうか。飲むためには何らかの理由づけが必要で、「時間があ
る」ことが「飲める」という状況を成り立たせているという判断です。

 この「~から」は、形式的には「飲もう」にかかっていると言うしかないで
しょうが、その中にある論理を明らかにして学習者に理解させなければなりま
せん。

 条件表現の中にも、どこにかかるのか、を考えると面白いものがあります。

     新聞を読むなら、ここにありますよ。

  「新聞を読む」ことは、「(新聞が)ここにある」ことの「条件」にはならな
いでしょう。「新聞を読むつもりなら(ここにあるから)読めますよ」という
ことでしょう。
 つまり、条件節の事柄を成り立たせるのが、主節で表されている事柄である、
という関係になっています。

 次の例はまた違います。

     このことを別にすれば、計画はだいたいうまく行った。

  主節が過去の事柄で、「~ば」が使われていますから、事実に反する仮定と
しての読み(「もし・・・すれば、うまく行ったのに」)はありえますが、まずふ
つうに読めば、「このことを別にして考えると、うまく行ったと言える」とい
う意味にとれるでしょう。つまり、意味的には「~すれば」は「行った」にか
かっているとは言えません。                   

 次の「~らしく」は、主節が表す事柄の背景となる事情を推測しています。

          子どもは私の持っていた虫が欲しいらしく、じっと見つめていた。
     外に誰か待たせてあるらしく、話を手短にすませて出ていった。

  「欲しい」ことが「見つめる」理由にはなりますが、この「らしい」はどこ
にかかるのでしょうか。

     虫が欲しいから、見つめていた。
    ?虫が欲しいらしいから、見つめていた。

  むしろ、

     虫が欲しいから、見つめていたらしい。

となるところでしょう。もちろん、この「らしい」は「見つめていた」ことを
推測するのではなく、理由を推測しています。


  以上、対応する副詞句のない連用節を見てきましたが、一つ言えることは、
主節とは違ったもう一つの事柄を表しているということでしょう。副詞句とそ
れに対応する連用節は、単に主節の表す事柄を豊かに表現するための修飾部分
です。
 また、補語の形で表せる原因や目的の表現、例えば「雨」はモノですが、「雨
で(電車が遅れた)」というときは、降雨という一つの事象、事柄を表して
います。「料理に(使う)」「受験のために」なども同様です。これらは他の補
語とは性質が違い、それだけでもう一つの事柄を表す、つまり「節相当」の内
容を表しているのです。ここでとりあげた連用節に似ています。

55.1.3 遊離的な節
  次に、どこにかかるとも言えない、いわば遊離的な節をとりあげます。

[~か]
 一つは、「~か」の形になるものです。 

         彼女は、風邪を引いているのか、かすれた声で話し始めた。
     電車の事故でもあったのか、みな少し遅れてきた。
     雨が降り出したのか、ぽつぽつと屋根の音がする。
         僕は、夢を見ていたのだろうか、気が付くと電車の中に座っていた。

 「~のか」の形で主節の事態の(不確かさを含んだ)事情説明になっていま
す。前に「理由」で扱った「~からか/ためか」に近いものですが、「理由の
推測」ではありません。初めの例は「~からか」でも言えそうですが、最後の
例は「夢を見ていたからだろうか」とは言えません。

 以下の例は不定語・疑問語が使われた例で、「~からか」などでは言えませ
ん。主節の事態をもたらした状況について不確かな推測を述べています。

     誰か来ているのか、見慣れない靴が玄関にあった。
     その子は、どこかで転びでもしたのか、ひざをすりむいていた。
          何があったのか、みな興奮した様子だった。
         あの写真は、どこへしまったものか、二十年以上見ていない。
     彼は、その後どこへ行ったのか、姿を現しませんでした。
     彼女は、何が気に入らないのか、怒っているようでした。
     そこには、いくらで買ったのか、安物のパソコンが置いてあった。

 疑問語の場合、「どこかへ行った」「何かが気に入らない」「いくらかで買
った」ということが、主節の事態に対する可能な説明の一つとして提出されて
います。

 以上の例で、「の」を使わず、「か」だけにすることはできません。

    ×誰か来ているか、見慣れない靴が玄関にあった。
        ×彼女は、何が気に入らないか、怒っているようでした。

  次の例では「か」がありませんが、「~だろう」はそもそも不確かさを含ん
だ表現ですから、上の「~のか」にかなり近い表現です。

         子供たちは、いい夢を見ているのでしょう、穏やかな寝顔です。

 以下の例は「の」が使われていません。「想起(思い出し)」の「~だった」によっ

て、不確かさを表しています。   

      小さい頃、どこでだったか、母とはぐれて迷子になったことがある。
     彼女と初めて会ったのは、いつのことだったか、雨の降る夜だった。
     私が大学を卒業したときだったか、久しぶりに彼が電話をくれた。

[成句など]
 そのほかにも節が現れる位置があります。例えば、連用修飾とは言いがたい
次のような例。

    こういうことは、成せばなる、何とかなるさ。

  この「成せばなる」のところにはもっと長いものを入れることもできます。
 こういうものは、文の骨組みから遊離したもので、きちんと扱おうとすると
やっかいです。この例では、単に挿入されただけではなく、前の「~は」を受
けた形になっているので、いっそう扱いに困ります。

        [こういうことは、何とかなるさ]

に「成せばなる」が挿入されたものと考えられますが、

    [こういうことは、成せばなる]

で一つのまとまりで、それに「何とかなるさ」をあとから添えたものと考える
こともできそうです。

 文の途中に成句をはさむ、ということはよくあります。

        あの真珠、家内にやったんだけど、豚に真珠、むだだったかな。

 次の例では、「~として」とか「~だから」などをおぎなって考えるのがい
いようです。

        今の僕らにとっては、あの時はあの時のこと、こうせざるを得ない。

 以上のような「遊離的」な要素はさまざまなものがありますが、ここまでに
しておきます。 


55.2 連用節どうしのまとまり方
  これまでは「複文」と言っても、基本的に節が主節と従属節の二つだけのも
ので、その意味関係を考えてきましたが、以下では節の係り方の関係、まとま
り方を見てみましょう。

 考え方の基本は、ある従属節が、独立の文にどれだけ近いかということ、独
立性、あるいは逆に言えば従属度の問題です。
 そして、その節が、あとの節とどうつながっているか、あるいは切れている
か、ということ。
 そしてさらに、前に従属節があったら、それとのつながり方、前の節を受け
て、それを包み込むか、あるいは前の節がその節を飛び越えて後ろの節とつな
がっているのか、などです。 

55.2.1 連用節が数多くある例
 問題を明らかにするために、次のような形で考えてみましょう。

     AしてBしながらCしたのでDだったがEではなくFだったから 
     GしないようにHしてIしたらJしたためKした。

  かなり多くの文型の連なりですが、実際にもありそうな文です。
 このように多くの節が重なった場合、どこに大きな切れ目があるのか、どの
ように区切っていって内容を理解すればいいのかを、考えてみたいと思います。
 もちろん、実際の文ではそれぞれの節の意味があるので、その意味を考えれ
ば、どれとどれがまとまっていくのかはだいたいわかるでしょう。しかし、文
法的な面からも区切りがある程度わかるはずです。

 一つ一つ順に考えてみましょう。
 まず、AとBの「~て」と「~ながら」ですが、これらはかかる範囲が狭い
ものと考えられます。「~て」は様子や手段の場合、同一主体、同一時間の事
柄ですからひとまとまりですし、継起の場合でも一続きの事柄です。並列の場
合はそこで意味的にははっきり切れるのですが、それでもすぐ次の節とひとま
とまりとなるのでしょう。
 「~ながら」はもちろん同一主体・同一時間で、BとCのつながりは強いで
す。逆接の場合もすぐ次の節とひとまとまりになるでしょう。そこで、初めの
ほうは、

     [AしてBしながらCした]ので、

のようにまとまることが予想されます。例えば、

     あがってしまってどきどきしながら歌ったので、
     ベッドに寝転がって音楽を聴きながら眠ってしまったので、

などのように。

 次のC、D、E、Fあたりは、みな切れる力の強い節です。ただ、「~が」
は特に大きく切れることが多いので、

     [・・CしたのでDだった]が、[EではなくFだったから~

のようになることが多いでしょう。

  EとFの関係は、並列の前後、つまり「EではなくFだった」が一つのまと
まりとなって「~から」で受けられることになるでしょう。
 例えば、先ほどの例の続きを考えてみると、

          ~ひどい出だしだったが、本番ではなくリハーサルだったから、
     ~服を着たままだったが、まだ寒い季節ではなく気持ちのよい秋の
      夜だったから、 

 残りの部分。「GしないようにHしてIしたら」ではGはHかIにかかるで
しょう。
 HはIにかかり、「HしてIする」はひとまとまりです。つまり「~たら」
がこの部分をまとめます。
 「IしたらJした」の「~たら」は仮定ではなく、継起的な事実の連続です。

 先ほどの「Fだから」がどこにかかるかは難しいところです。

     [~Fだったから][GしないようにHして]
     [~Fだったから][[GしないようにHして]Iしたら]

 つまり、「Hして」にかかるか、あるいは「Iしたら」にかかるかわかりま
せんし、それ以外の可能性もあるかもしれません。いくつかの可能性の中から、
あとは実際の文の意味内容によって決まるのでしょう。

 以上の文型の組合せで作った作例を二つ。

   1 あがってしまってどきどきしながら歌ったのでひどい出だしだった
     が、本番ではなくリハーサルだったから、ともかく音程を外さない
     ように注意して歌ったら、あとはうまく行ったため一応自信がつい
     た。

   2 ベッドに寝転がって音楽を聴きながら眠ってしまったので、服を着
     たままだったが、まだ寒い季節ではなく気持ちのよい秋の夜だった
     から、とにかく風邪を引かないように毛布を掛けてうつらうつらし
     ていたら、電話が鳴ったため、仕方なく起きた。

  無理に作った作例なので不自然なところがありますが、実際の文では連体節
や引用も加わるのでもっと長いものがいくらもあります。「59.複文のまとめ」
でその実例を挙げて検討してみます。

  以上、いくつもの従属節のある文で大ざっぱに「つながり方・切れ方」とい
うものを考えてみました。

 ある従属節が、次の節と強く切れるかどうかは、基本的に意味によって決ま
ります。次の節と対立する「逆接」がはっきり切れるのは当然でしょう。「様
子」や「同時動作」が次の節とまとまるのも、その意味から考えて当然のこと
です。

 しかし、その中でも形式によって違いがあります。例えば、理由を表す形式
の中で、大きく切れるものとそうでないものがありました。

 代表的な連用節を意味別に縦に並べ、その中で切れる強さによって左から右
に並べてみました。縦の線は、そこで大きな分類ができそうなところです。 

  ┌──┬───────┬───────────┬────────┐
 │逆接│ が けれども│のに    ながら    │                │
 │並列│  し     │     て        │たり              │
 │理由│   から     │ので  ために  て │                  │
 │条件│          │  なら たら・と・ば│                  │
  │    │              │            ても・ては│                  │
 │目的│              │        ために のに│                  │
 │継起│              │          と  て    │                  │
  │時 │       │  とき  てから    │                 │
 │同時│       │           │ながら つつ      │
  │様子│       │           │まま ように て  │
 └──┴───────┴───────────┴─────────┘

 細かく見ていくには、その節の中の要素、主体の「は・が」や副詞句や複合
述語の制限と、前後の節、特に主節との関係を見る必要があります。そして、
それらによる分類は多少ずれるので、上の分類はそのだいたいの傾向を示した
ものと考えて下さい。

55.2.2 述語の主体の一致
 連用節と主体の「Nが」の関係を考えてみます。例えば、同時動作の「V-
ながら」の主体は、それがかかる節の主体と一致します。同一主体の動作を言
う文型ですから当然のことです。

          テレビを見ながらご飯を食べてはいけないと父は言うが、その父が
          新聞を読みながらご飯を食べている。

 このことを、「ナガラ節には主語が現れない」と言うことがありますが、つ
まりは「~ながら」の節を包み込む節の主体と一致しているのです。

  「逆接」の「~ながら」には別の主体が入り得ます。

          体は小さいながら、力は強い。(南不二男例)

ただし、この例ではどちらの節も主題(例えば「その子は」)についての描写
になっていて、全体が「は・が文」で、主体はその部分を示しています。
 その「が」が副題(対比)の「は」になっています。次の「~が」のような、
全く別の主体についての文ではありません。

          これは大きいが、あれは小さい。

 主題と同じ主体が「自分」の形になることがあります。

          母親は、自分も倒れそうになりながら、何とか子どもの体を支えて
     いた。

 「様子」の「V-て」「V-まま」「A-そうに」なども主体が一致します。

     手をあげて、横断歩道を渡りましょう。
     彼女は、海を見つめたまま、ゆっくりうなずいた。
        ?定期券が切れたまま、気がつかずにバスに乗ってしまった。

 「~ように」では主体の様子をそのまま言う場合と、比喩的に似たものにな
ぞらえる場合があります。

     彼女は舞うようにテーブルの間を泳ぎ回った。

なら「舞う」のは「彼女」ですが、「鶴が舞うように」とすれば主体が違いま
す。

 目的の「V-ために」「V-のに」は例外はありますが、主体が一致します。
「~ように」はその制限がありません。

 主体が一致しなければならない(その節独自の主体を持てない)節は少ない
ようです。   


55.2.3 主体のハとガ
 次の問題は、主体に付く助詞が「は」か「が」かという問題です。従属節の
主体が必ず主節と一致する場合は問題ありません。主節を一つの文と考えて、
「は」か「が」かは単文の時と同じように決められます。

   1 突然、その男たちが/は 靴を履いたまま大声を上げながら家に上
     がり込んできた。
          突然、その男たちが/は 家に上がり込んできた。

この例では「が/は」のどちらでも使えます。どちらを使うかは、文脈と話し
手の叙述の仕方によります。 

 問題になるのは次のような場合です。

   2 突然、彼らはドアを押し開けると、家に上がり込んできた。
    ?突然、彼らがドアを押し開けると、家に上がり込んできた。

   3 彼らが入ってきたとき、私は本を読んでいた。
    ×彼らは入ってきたとき、私は本を読んでいた。

 例2も例1と同じく同一主体の動作とすると、「が」では少し不自然です。
その理由は、従属節が「~と」であることです。「~て」にしたほうが自然です。

   4 突然、彼らが/は ドアを押し開けて、家に上がり込んできた。

  逆に、例3の「~とき」の場合は「は」では言えません。

   5 彼らが/は 私の部屋に入ってきたが、私は本を読み続けた。

 例5の「~が、~」では「彼らは」とも言えます。

 以上のように、節によって主体に「が」を使うか「は」を使うかの制限が違
います。それを少し考えてみます。

A.従属節の独立性と「Nは」
  主題の「は」は、主節、つまり文全体に属するものです。
 従属節の中で「は」が使えるのは、その従属節の独立性が高い場合です。で
すから、例3の「~とき」のように、主節に別の主体がある場合は「は」が使
えません。
 一方、例5の「~が、~」は独立性が高いので「は」が使えます。
         
B.従属節の「まとまりの強さ」と「Nが」
  もう一つ、従属節には、主文からの独立性とは別に、それ自身がまとまりを
作る強さの違いがあります。例えば、「~て」はそれが弱く、「~と」は強い
のです。

 上の例2の不自然さは、主節の述語にかかろうとする「が」の力を食い止め
る「~と」の働きによります。「が」は「~と」を越えてその後ろにはかかっ
て行けないのです。それと比べて、「は」なら楽々と主節の述語までかかれま
す。
 また、「~て」は次の節と一緒になってまとまろうとするので、「が」の力
は主節の述語まで届きます。それが例2と例4の違いです。

  逆に言えば、「が」を使うと、主節の主体は何か別の名詞と解釈されやすく
なります。「~たら」の場合。

     お姉ちゃんは、帰ってきたら、ピアノの練習だ。
          お姉ちゃんが帰ってきたら、ピアノの練習だ。 (寺村例)

 「は」の場合は、文末までかかりますので、「練習」するのは「お姉ちゃん」
ですが、「が」では「帰ってきた」までしかかかれませんから、「練習」する
のは他の誰か、例えばこの文の話し手である「弟」になります。

  次の例は、「~てから」の場合。「は・が文」が関係します。

     河崎先生は、この研究室に来てから、話が下品になった。
          河崎先生がこの研究室に来てから、話が下品になった。

  「は」では「先生は話が下品になった」のですが、「先生が」では文末まで
かかれないので、おそらく「研究室の話(雑談)が下品になった」のでしょう。
 研究室の雰囲気が先生に影響を及ぼしたか、先生の個性が強烈だったか、と
いう違いです。

 「~が」「~から」「~し」などでは、節の独立性が強いので、単文とだい
たい同じように「は/が」が使い分けられますが、細かい問題はそれぞれあり
ます。

55.2.4  連用節のテンス
 連用節の中の述語の時の表現についてまとめておきます。
 まず、テ形やタリ形などの活用形を使うものや、「~と」や「~あと」のよ
うに使える活用形が決まっているものはこの問題に関係ありません。現在形と
過去形、「する/した」の両方が使えるのは次のような連用節です。同じよう
な形・意味のものは代表的なものだけにします。

   逆接   が/けれども/のに 
   並列   し
   理由   から/ので/ために/せいで 
   条件   なら/とすると/ばあい  
   時    とき/あいだ
   様子   とおりに/ように
   限定   だけ 

 節の独立性が高い逆接の連用節は、独立した文に近くなります。言いかえれ
ば、主節の時を基準とせず、発話時を基準にして「する/した」が決まります。

     彼は来たが、彼女は帰った。   
     彼は来るが、彼女は帰った。 
     彼はいるが、彼女は帰った。 
     彼はいたが、彼女は帰った。 

 以上の形はみな成り立ち、それぞれの「~が、~」の節は単文と同じように
解釈されます。

  「48.2 ~とき」のところで、「いる」などの状態を表す動詞や「~ている」
などの複合述語、それに形容詞述語・名詞述語など、まとめて言えば状態を表
す述語の場合は、従属節の現在形が、過去である主節と「同時」を表せるとい
うことを述べました。つまり、簡略化して示すと、

     イルとき、シタ。     

の「イル」は「イタ」と同じだと解釈されるということです。

 同じことが一部の連用節でも起こります。逆接の「~が、~」の例。

        品物は店の中にたくさん並んでいるが、値札がついていなかった。
          力は強いが、乱暴ではなかった。

それぞれ、「並んでいた」「強かった」という過去のことを表しています。

 ただ、常に現在形で言えるわけではなく、その使用条件は複雑そうです。

    ×私は隣のへやにいるが、誰にも気付かれなかった。(○いたが)
        ?その映画は面白いが、評判にはならなかった。(○面白かったが)

 「~し」も「~が、~」に近いようです。

    ?彼も参加するし、彼女も参加した。

の「する」は「した」と同じ時、すなわち発話時より以前を指すことはできま
せん。「する」が将来を表すなら、やはり順番に、

     彼女も参加したし、彼も参加する。

としたほうがいいでしょう。

 状態性の述語の場合は、

          あの店は品数も多いし、店員の態度もよかった。

の「多い」は「多かった」の意味になり、主節の過去と同時になります。

 もう少し従属的な節の場合。先週のパーティーの話をしていて、

     久しぶりに恋人に会うので、胸がどきどきした。
     久しぶりに恋人に会ったので、何時間もしゃべった。

と言った場合、この「会う」は、発話時が基準になるのではなく、「どきどき
した」時点から見て以後のことなので「スル」の形になっています。
 このように、状態以外の動詞でも主節を基準とした相対テンスが使えます。
「~スル時、~シタ」の場合と同じです。一方、「会った」のは「しゃべった」
よりも前です。

     どきどきした → 会う(会った)
     会った    → しゃべった

 この「会う」は学習者にとって使いにくい形です。

    ?久しぶりに恋人に会ったので、会う前、胸がどきどきしました。

のように書いてしまいがちです。(「~まえ」のところは現在形を使うという
ことはよくわかっているとしても、です。)

 「~のに」の「従属度」も「~ので」と同じ程度です。

     久しぶりに恋人に会うのに、心がときめかなかった。

「会ったのに」とすると、意味が変わります。     

 状態を表す述語なら、現在形が主節と「同時」になります。

          正確な場所を知らないので、少し不安だった。(知らなかったので)
          お金を持っているのに、貸してくれなかった。(いたのに)

 次の「ある」は状態ではないので「以後」のことを表します。

     息子は、試験があるのにのんびりテレビを見ていた。

 ただし、「~ので」の場合、次の例では現在形が「以後」を表しません。

     彼が何度も頼む/そう言う ので、少し金を貸してやった。

では、意味は「頼んだ/言った」と同じです。

  理由の「~ために」は節の内容が確定したことに限られるので、「スル」に
なる例はまれです。「シタために」か、状態述語がふつうです。

     イギリス国王がこの町を訪問されるため、道路を修理中だった。

「~する予定になっている」というような意味で、確定したこととして理由の
表現になります。つまり、この「スル」は主節より以後を表します。状態性の
述語なら同時です。

     体が小さいため、スポーツは苦手だった。(小さかったため)
     工事をしているために通れなかった。(していたために)

 「スルとおりにシタ」の「スル」は以後を表さず、同時つまり「シタ」と同
じ時を表します。

     彼女の言うとおりにやった。

 「言ったとおりに」とすると、かなり以前のことにもなりえますが、「言う
とおりに」はその場で指示している感じです。

 「スルようにシタ」の「スル」は、比喩的な、固まった表現として現在形を
使うものです。もちろん、以後を表しません。

     手のひらを返すように態度が変わった。

 限定の「だけ」は、「限度いっぱい」の意味など「VだけV」の場合は現在
形で、「ちょうどその分」の意味では過去形も使えます。

          積めるだけ積んだ。
     見るだけ見てみた。
     中に入れただけ、私はせめて運がよかったのだ。


55.3 連用節をつなぐ接続詞
 初級では、接続詞は文と文をつなぐことが多いのですが、節と節をつなぐこ
ともあります。その多くは連用節と同類の接続詞が使われます。つまり、なく
ても意味は変わりません。

          これをやって、(そして)あれをやる。
     これをやって、(それから)あれをやる。
     これをやり、(そして)あれをやる。
          これをやって、(その上)あれもやる。
     これもやるし、(その上)あれもやる。
     これをやるが、(しかし)、あれはやらない。
     これをやったあとで、(それから)あれをやる。

  以上はこれまでにとりあげてきた比較的単純な連用節です。

  接続の型は「64.文接続詞」で考えて見ますが、「展開型」の接続詞が節を
つなぐ位置に使われる場合もあります。

          これをやって、それでどうなるか。    
     これをやってみたが、さて、どうなるだろうか。
     これはこうやってみたが、では、あれはどうすればいいか。
     これをやったのだが、そうなると、次はあれが気になる。

  この「が」は逆接ではなく、前置きです。

  「~か」は「55.1.3 遊離的な節」として扱いましたが、名詞節の最後のと
ころでまたとりあげます。選択型の接続詞になります。

     かぜをひいたのか、それとも、残業の疲れからか、体が重い。
     これをやるか、または/あるいは、あれをやる。
     これをやるか、それとも、あれをやるか。 


55.4 同種の連用節の重なり
 単文の補語の説明(「補説1」)の中で、「同格一個の原則」というのを紹
介しました。これと同じようなことが、複文の場合にもあるでしょうか。つま
り、一つの文には同じ連用節が2つ以上存在できるでしょうか。

 まず、並列は別です。それに、「継起」の「~て、~」と「~(中立形)、
~」もいくつも並べられます。

     ここにもあるし、あそこにもあるし、どこにでもある。
     歯をみがいたり、顔を洗ったり、いろいろ忙しい。
     家に帰って、テレビをつけて、ビールを飲もう。

 それ以外の連用節を見てみましょう。     
 例えば、「並行動作」として次の三つのことはどう表したらいいでしょうか。

     [歩いた・歌を歌った・手を振った]

これを、単に「~ながら」でつないで、

    ?歩きながら、歌を歌いながら、手を振った。

とすると自然な文になりません。同時に行われていることでも、三つ以上にな
ると「~ながら」では表せないのです。「~たり」にすると、

     歩いたり、歌を歌ったり、手を振ったりした。

どれか一つずつすることになります。同時ではありません。

  この三つを一つの文で表すには、例えば、

     歩きながら歌を歌い、手を振った。

とでもするしかないでしょう。では、4つになったら?

     歩きながら歌を歌い、手を振り、足をあげた。

となります。つまり、並列の形でいくつも並べることになります。

  「~て」でも、手段の場合は続けられません。

   1 ×バスに乗って、電車に乗って、学校に行く。
   2 ?バスに乗って、電車に乗り、学校に行く。
      3  バスに乗り、電車に乗って、学校に行く。

  2より3のほうがましに感じられるのは、「バスに乗り、電車に乗」が並列
構造と見なされ、それを手段の「~て」がまとめているように解釈される可能
性があるからでしょう。「~たり」を使って、

     バスに乗ったり、電車に乗ったりして、学校に行く。

とすると、「~して、~」のところが手段を表し、「~たり~たり」は並列を
表すことになります。ただし、バスと電車は、続けて乗り継ぐものかもしれな
いし、別の日に乗るものかもしれません。

 次は逆接の例。

     [失敗をした・なんとかその場は隠した・見つかった]
    ?失敗をしたが、何とかその場は隠したが、見つかった。

 「~が」を二つ続けると不自然です。
 同じ逆接でも、かかり方のより小さいものと組み合わせれば可能です。

     失敗をしたものの何とかその場は隠したが、結局見つかった。
     [[Aしたものの]Bした]が、[Cした]。

 「AしたもののBした」という逆接と、「BしたがCした」という逆接の構
造が順々に理解されます。

 ただし、次のようにするとうまく行きません。

    ?失敗をしたが、何とかその場は隠したものの、結局見つかった。
     [Aした]が、[[Bしたものの]Cした]。

  つまり、大きな切れ目は「~が」のところにあるので、「AしたがBした」
というまとまりになれません。

  順接でも逆接でも言える例。

     象は鼻が長く、キリンは足が長く、サルは手が長い。
     象は鼻が長いが、キリンは足が長く、サルは手が長い。
     象は鼻が長く、キリンは足が長いが、サルは手が長い。
    ?象は鼻が長いが、キリンは足が長いが、サルは手が長い。

「~が、~」を二回使った最後の例だけが、不自然な文になります。

 時の節。「~とき」は、「に」や「は」をつけないまま、単に並べられます
が、「そして」も使えます。また、「とき」は形式名詞ですから、並列助詞の
「と」でも結べます。

          寂しいとき、(そして)悲しいとき、私は家族からの手紙を読み返す。
     朝起きたときと、夜寝るときに歯を磨きます。

  「まえ」や「あと」「あいだ」なども同じです。

          ご飯を食べる前や、外で遊んだあとに手を洗います。

 「~あいだに」を並べる場合は、「に」は最後の一つだけになります。

     電車を待っているあいだと、電車に乗っているあいだに、日本語の
     単語を5つずつ覚えます。

前の「~あいだと」は「~あいだにと」の意味です。

  「~てから」の例。ただ並べるのでは不自然になります。

          彼女の日本語は、大学に入ってから、そしてさらに日本企業に就職
     してから、一段と進歩した。

  条件。単に並べるだけでは不自然で、「そして」や「さらに」などを付けた
ほうがいいようです。

        ?休暇が取れたら、お金があったら、旅行に行きたい。
     休暇がとれたら、そしてお金があったら、旅行に行きたい。

  しかし、複数の条件を「~て」などでひとまとまりにするほうが自然です。

     休暇がとれて、お金もあったら、旅行に行きたい。
          [[休暇がとれ]て[お金もあっ]]たら
          この道をまっすぐ行って、信号で右に曲がると、駅に出ます。

 「この道をまっすぐ行く」ことも、「~と」の中に入っています。

          [[この道をまっすぐ行っ]て[信号で右に曲がる]]と、~。
          若くて、美人で、スタイルがよくて、頭脳も明晰だったら・・・、僕な
     んか相手にしてくれないだろうな。

 最後の「~たら」の節を「頭もよければ・・・」のような「~ば」の節にしても
同様のことが言えます。

 「~ても」は、すでに述べたようにいくつも並べられます。

     雨が降っても、槍が降っても、僕は行くぞ。
     彼がどう言っても、泣いて謝っても、許せない。

  理由の節の重なりについてはすでに「50.11 理由表現の重なり」で述べまし
た。目的については、「51.5 ~ように」で次の例をあげました。

     湯をわかすのに時間がかからないように新型の湯沸しを付けました。
          持ち運ぶのに便利なようにするために、箱に取っ手を付けた。

 「AためにB」はBに意志動詞が来るので、そのあとに「~ように」が来る
ためには主体が違っていなければなりません。

     犯人が証拠を消すために再び犯行現場に来るように報道を制限した。
          A大学に合格するためには、長文の英語が短い時間で読めるように
     練習しておくことが必要だ。

  様子の節。それぞれ違う形式は並べて使うことができます。

          靴を履いたまま、いすに乗って、飛び上がるように体を伸ばした。
        ?口を開けたまま、手をあげたまま(で)、こちらを向いた。
     口を開け、手をあげたまま、こちらを向いた。

 やはり同じ形式は並列の形にしたほうがいいようです。

 程度・限定・比較の節。「そして」などで重ねるように言う以外は一つだけ
でしょう。

     一人では食べきれないほど、二人でもどうかと言うぐらいたくさん
     料理があります。
          両手にいっぱい持てるだけ、そして頭の上にも載るだけ載せて、ゆ
     っくり運んでいきました。
          本で読むよりも、人に話を聞くよりも、やはり実際に自分で見るの
     が一番です。

     
55.5 連用節どうしの関係
55.5.1 条件と時・理由・目的の関係 
 条件表現を成り立たせているAとBの関係は、「理由」や「目的」の表現
にも密接な関係があります。それを見てみましょう。

 まず分かりやすい例から、

     がけ崩れで列車が止まった。

「がけ崩れ」は原因を示す補語です。

     がけ崩れが列車を止めた。

とすると、「止めた」主体を表しますが、翻訳調です。

 形式名詞を使って、

     がけ崩れのために/のせいで 列車が止まった。

とすることもできます。

 以上の例では、「がけ崩れ」を名詞で表しているので、言い換えれば、一つ
の事柄に名前をつけて、その事がらを表すのにその名前を使っているので、文
の形としては単文になっています。

 同じ事柄を、「がけが崩れた」と文の形で表すこともできます。一つの事柄
全体に名前をつけて呼ぶのではなく、その事柄を補語(主体)と述語に分けて、
動きのある現象として表現するのです。
 そうすると、上の文は、

     がけが崩れ、列車が止まった。
     がけが崩れて、列車が止まった。

のようになります。「崩れた」ことと、「止まった」ことをそのままつなぐ形
式としては、上の「並列」の表現が最も基本的でしょう。

 事柄Aがあり、そして事柄Bがある(時間的には前後か同時かはわかりませ
んが、論理的には一応前後の関係があります。)
 こうすると、上の単文の「がけ崩れで」のようなはっきりとした「原因」の意味
合いは薄れてしまいますが。

 それをはっきり言うには、

     がけが崩れたので、列車が止まった。
     がけが崩れたから、列車が止まった。

などの形があります。これらは「崩れた」ことと「止まった」ことを原因-結
果の関係として話し手がとらえたことを表しています。

 「ので」や「から」の表現は、「電車が止まった」という事柄の原因を問う
「なぜ」に対する答えであるとも言えます。

 さて、ここで「なぜ」ではなく、「いつ」という問いを出すこともできます。
「いつ列車が止まったか」という問いに対しては、

     がけが崩れた時に、電車が止まった。

という形で答えることができます。これは「原因」の表現から離れて、「時」
の表現です。これもまた、「がけが崩れた」と「電車が止まった」という二つ
の事柄を関係づけた文だと言えます。                  

 上の「時」の文は、ある一回の事柄の表現ですが、同じことが何度か繰り返
され、

     (この前)がけが崩れた時に、電車が止まった。
     (今回)がけが崩れた時にも、電車が止まった。
    (将来)がけが崩れた時にも、電車が止まるだろう。

となると、この関係を一般化することができます。すなわち、

     がけが崩れると(崩れれば)、電車が止まる。

 「時」の表現から「条件」の表現になりました。「崩れる」ことと「止まる」
ことを「条件-帰結」の関係としてとらえています。
 個別の事柄から、一般化されて条件が取り出されています。そしてそれはま
た個別の事柄にも逆に使われます。

     今度がけが崩れたら、また電車が止まるだろう。

 初めの「原因」の文も、

     がけが崩れたので、電車が止まった。

上の「条件-帰結」の関係を認めることによって成り立つ表現です。

     薬を飲んだから、風邪が治った。

という文は、

     薬を飲む → 風邪が治る
    (薬を飲めば、風邪が治る)

という関係があることを認めている話し手によってのみ、使うことができるの
です。

 そのことは、

     神様にお祈りしたから、風邪が治った。

のような文を考えれば、もっとはっきりするでしょう。その「神様」を信じて
いない医者に言わせれば、

     冗談じゃない。私があげた薬を飲んだから、風邪が治ったんだ。

となるし、医者を信じない皮肉屋なら、

     何を言う。かかって一週間たったから、自然に治ったんだ。風邪な
     んてものは薬を飲まなくても、一週間たてば自然に治るんだ。

と言うかもしれません。                        

 「原因-結果」の文は、「条件-帰結」の関係が底にあるのだということを
述べてきましたが、これは「目的」の表現にも言えることです。

     薬を飲んだために、風邪が治った。
     風邪を治すために、薬を飲んだ。

はちょうど裏表の関係です。「薬をのむ」のは、

     薬をのむ → 風邪が治る (飲めば、治る)

という関係があることを信じていればこそです。

     大学に入るために、一生懸命勉強した。
     大学に入るために、教授に金を渡した。

 さて、「原因・理由」、「目的」の表現は、その底に「条件」の表現がある
と考えられることを見てきました。そして、「条件」は「時」の個別的な表現
の一般化であるとも考えました。

 「時」の表現は、いちおう事実関係を表しているといえますが、条件、そし
てそれに基づく目的や原因の表現は、二つの事柄の間にある関係を、話し手が
想定することにより成り立ちます。

     Aさんが話し始めた時、Bさんがいやな顔をした。

「いやな顔をした」のは、急におなかが痛くなったからかもしれませんが、何
にせよ、ちょうど「話し始めた時」であったということは(話し手の観察が正
しければ)間違いではありません。それに対して、

     Aさんが話し始めると、Bさんは(いつも)いやな顔をする。

と話し手が長年の観察に基づいて思っていれば、

     Aさんが話し始めたので、Bさんがいやな顔をした。

と言うことができます。

 以上、時の表現と条件の関係、そして理由や目的表現は、その底に条件表現
によって表される論理関係があり、それを認める社会・人によってのみ意味を
持つことを見てきました。

55.5.2 連用節全体の別の分類
 連用節相互の関係を見てみましょう。
  二つの節の関係には、何らかの意味で前後関係がある場合と、前後関係のな
いものに分けられます。ここで前後関係というのは、時間的な前後だけでなく、
上で見たような論理的な関係も含みます。時間的前後は、もちろん時の連用節
によって表されます。「同時」も含みます。論理的な関係というのは、条件・
原因・理由・目的などです。

 前後関係のないものは、逆接、並列・並行動作、様子・付帯状況の一部など、
程度・限定・比較などです。         

 意味的に対等もしくはそれに近いもの(逆接、並列など)と、まったく従属
的なもの(その他)に分けられます。

  ここにあげたのは連用節のほんの一部です。「その他の連用節」であげたよ
うなものをすべて的確に収められるような分類はまだまだはるか遠い夢です。
誰か考えてみませんか?

  ┌────┬─────────┬─────────────────┐
  │        │ 意味的に対等  │  並列 逆接                    │
  │前後なし├─────────┼─────────────────┤
 │    │ 従属的          │  手段 様子 程度 限定 比較など│
  ├────┼────┬────┼────────┬────────┤
  │        │        │  前  │ 同時     │ 後            │
  │        ├────┼────┼────────┼────────┤
  │前後あり│        │  まえ  │  とき          │  あと          │
  │        │  時間  │  うち  │  あいだ        │  てから        │
  │        │      │        │  ながら・つつ  │                │
  │        ├────┼────┼────────┼────────┤
  │        │  論理  │  原因  │                │  目的          │
  │        │        │        │  なら          │  と・ば・たら  │
  └────┴────┴────┴────────┴────────┘

 

[参考文献]
安達太郎1995「ノカとカラカ、タメカ、セイカ、テカ」宮島他編『類義下』くろしお出版
江口正1993「間接疑問節の二つの解釈」『九大言語学研究室報告』14 
仁田義雄1995「シテ節の「ハ」による取り立て」『阪大日本語研究』7大阪大学文学部
長谷川守寿「接続表現に基づく複文規則とそのグループ化」