录音:
チャレンジ1
時計の文字盤から
織田 一朗
見慣れたはずの時計でも、よく見ると不思議なことがたくさんある①。たとえば、時計の文字盤は12時から始まっているのはなぜか。結論から先にいうと、時計が考案された(紀元前3000~4000年)のが、人類がゼロを発見する(8~9世紀)よりも先だったか
らといわれている。
しかし、数字は連続性からいえば、午前12時59分の次に1時が来るのはおかしい②ので、文字盤の頂点は「ゼロ」にすべきだとする考え方もある。日本では混同を避けるため、新聞やテレビ、そして日本時計学会のデジタル時計の表示などではO時表記を優先させているものの、時計の文字盤そのものをOにしようという動きにはなっていない。(中略)
また、文字盤のローマ数字はⅣでなく、Ⅲが使われる。これはフランスのシャルル5世が建設中の時計を見て、「文字盤のⅣはⅴからⅠを引くことになり縁起が悪いのでⅢ
にせよ」と指示を出したのが後世に引き継がれた、とのエピソードがある。Ⅲは正式な
ローマ数字には見当たらないもので、時計の文字盤だけに用いられる。
右回りにしろ、12から始まるにしろ、ローマ数字の表記のしかたにしろ、世界中の
時計に徹底されている③のが興味深い。
時計はたんに時刻がわかればよい、とする計測機器ではない。見やすさと美しさが兼
ね備わっていなければならない。12をOに変えない理由、ⅢをⅣにしない理由、それらは時計職人たちの怠慢④の結果ではなく、時計としての完成度を維持するために受け
継がれている大切な要素なのではないだろうか。
注釈
1.シャルル5世:フランスの歴史上の人物で賢君と称せられた王(1337~I380)。 2.完成度:完成された度合い、出来映え。 |
練習問題
1.「よく見ると不思議なことがたくさんある」の「見る」は次のどの言葉に近いか。
a.楽しむ b.観察する c.眺める d.考える.
2.「数字は連続性からいえば、午前12時59分の次に1時が来るのはおかしい」とあるが、なぜおかしいのか。。
a.数字の連続性から言えば、59の次は60だから
b.数字の連続性から言えば、1の前はO.9だから
c.59分は「分」の単位で、1時は「時」の単位だから。
d.12時59分の次に来るのは13時のはずだから
3.「世界中の時計に徹底されている」とあるが、どういう意味か。
a.世界中の人が、時計は右回りで12時から始まり、Ⅲを使うことを完全に知っ
ている。
b.右回りか、12時から始まるか、Ⅲを使うかに関係なく、世界中で時計が使わ
れている。
c.世界中どこの時計でも、右回りで12時から始まり、ローマ数字の時はⅢを使
っている。
d.右回りや12時から始まることやⅢを使うことなどの問題点に世界中の人が気づいている。
4.「怠慢」にあたる説明を次から選びなさい。
a.怠けること
b.傲慢になること
c.差別すること
d.冷淡にあしらうこと
5.筆者は時計の文字盤について、どのように考えているか。
a.正式なローマ数字にはないⅢが使われているので、文字盤を変えなければならない。
b.数字の連続性の点で問題があるので、これからはデジタル時計を使うほうがいい。
c.いろいろ問題はあるが、世界中の時計に使われているのはそれなりの理由がある
からだ
d.ただ時刻を知るためだけではなく、工芸品として部屋を飾る働きもあるから、
文字盤に拘る必要はない。
正解 1.b 2.d 3.c 4.a 5.c