首页 资料下载 天声人语 20120203 雪に二つの顔がある

20120203 雪に二つの顔がある

来源:日语港 作者:日语港 时间:2012-03-13 阅读:3111

 雪深き冬、先頃の本紙俳壇に〈雪獄にたへて籠城(ろうじょう)沢内村〉の一句があった。おせっかいな講釈を加えれば、沢内は岩手県の内陸にある豪雪の地。南部藩時代の「沢内風土記」は、家屋を埋めて降り積む雪を「天牢雪獄(てんろうせつごく)」と称した。ひしひしと苦難の伝わる四文字である▼村は合併で西和賀町になったが、役場の沢内庁舎に聞くと積雪が2メートルを超えている地区もある。今は除雪の態勢も良くなり昔のような辛苦はないという。とはいえ今冬、白魔に閉ざされて「天牢雪獄」の心地の人が各地におられよう。被害は全国で深刻だ▼除雪中などに亡くなった人は50人を超えている。過疎と豪雪は重なり合う地域が多く、やはり高齢者が目立っている。慣れているはずの雪国の人にも、きりのない雪下ろしは身体にのしかかる重労働になる▼筆者にも経験があるが、屋根の上を滑らぬように歩く動作ひとつ、なかなか難しい。命綱をつけろ、1人ではするな、といった教訓はどこか冬山登山を思わせて厳しい。雪はあなどれない▼雪を「天からの手紙」と言ったのは雪氷学の先達、中谷宇吉郎だった。思えば雪は不思議な代物で、きびしい霜や冷たい霙(みぞれ)と違って、むしろあたたかく平和な感じすら与える。しかし純白にひそむ「魔」は、ときに人の命も奪い去る。雪に二つの顔がある▼きょうは魔を追い払う節分、そして明日は立春がめぐる。春は名のみの寒の底だが、地中に森に、幾万幾億の芽が時を待つ。〈冬 キビシ/春ヲ含ミテ〉柳宗悦(やなぎ・むねよし)。

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