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20120219 バイパス手術

来源:日语港 作者:日语港 时间:2012-04-08 阅读:4052

 酒飲みがひねる川柳はたいてい調子がいい。〈肝臓に会って一献(いっこん)ささげたい〉大木俊秀(しゅんしゅう)。同感ながら、忠勤に感謝するなら心臓が先かもしれない。一生に送り出す血液は、高層ビル一つ分にもなるらしい▼多忙を極める天皇陛下の心臓は、一般の78歳には縁遠い重圧にさらされてきた。ゴールのない長距離走者のようでもある。そこに、走り続けるためのメスが入った▼通りが悪くなった冠動脈を別の血管でつなぐバイパス手術は、広く施されている。陛下の場合、入院先の東大病院に、近くの順天堂大から百戦錬磨の天野篤(あつし)教授らが乗り込む万全の態勢。それでも、無事終了が伝えられ、心の赤ランプが消えるまで、胸が詰まるような時が流れた▼記者会見でのやや硬い笑みが、医師団の安堵(あんど)を語っていた。ただ、陛下を待つのは悠々自適の日々ではなく、再び公務の山だ。差し当たりのご希望が震災追悼式への臨席だと聞き、「究極の公人」の責任感に粛然とする▼署名押印は年に千件、首相や大臣の変転で、任命式もやたらとある。震災を共に乗り越えたい、とのお気持ちには打たれるけれど、何より代えが利かないのは存在そのものであろう。公務を絞り込む時期かと思う▼寒風の中、皇居の記帳所にはお見舞いの波が絶えない。真冬の空気に包まれた週末の列島だが、きょう二十四節気の雨水(うすい)は雪が雨にかわる候。待ちわびた南風をはらんで、ほどなく春が訪れる。術前術後のすべての窓辺に、生命の光がはずむ季節でもある。

 

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